INTERVIEWMichiko Nakayama

ミュベールのデザイナー、中山路子氏に
今回のコラボコレクションについての
デザインインスピレーションや想いなどを伺いました。
「今回のコレクションのテーマである、“センスオブワンダー”の概念は、レイチェル・カーソン著、書籍『センス・オブ・ワンダー』からインスピレーションを受けました。小さい子どもが無条件に夢中になったり発見した喜びに興奮を覚えたりする、子どもならではの沸き立つ感情や記憶が、大人になってもふっと蘇るという不思議な気持ちを表現しました。そんな沸き立つような気持ちはレスポートサックのバッグとお客様の間にもきっとあると思っていて。私も、レスポのバッグに憧れて手にした時の嬉しくて高揚した気持ちをよく覚えています。無条件に心が浮きたつ気持ちはいくつになっても、あればあるほどいいですよね。《レスポートサック》にはその力がすごくあるなと思っていて、私もその気持ちをいだきながら(デザインしながらロゴテープを選ぶ時もすごくうきうきしますし)そういった意味でも“センスオブワンダー”は、《ミュベール》と《レスポートサック》のお互いをかけあわせた一本線になるキーワードになったのかなと思います。」

ガーデントートとシンチバックパックは今回のコレクションのアイコニックなスタイルですね。
「ガーデントートは、イギリスのお庭で使われるようなガーデニングバッグからイメージしています。底がスクエアで容量もタフに入り、マチが広いので大容量のわりに幅を取らずにコンパクトに見えます。たくさん荷物があるときもエレガントに持てたらいいなと思って。バックパックは、ワンピースなどエレガントなお洋服を着た時に、マッチするものがあればいいなと思ってラインナップしました。このご時世、どうしても両手を空けたいとか、荷物はあるけどなるべく歩いて移動したいとか、肩掛けやミニバッグだけでは実用的に難しいことも多いですよね。そんな時でも、エレガントな装いやお化粧具合にも合うバッグになれたらいいなと思い、背負う形ができるだけ固くならないディテールを用いてみました。より女性らしくバックパックが楽しめる形になったかなと思います。足元は、バレエシューズなどを合わせても素敵ですね。」

制作時のエピソードを教えてください。
「PVCのお花が付いているPetite Hoboは、諦めずに色々と試せたので思い入れも強いですね。アクセサリー代わりにもなるバッグにしたかったから、なかなか挑戦できない手法を生産チームが模索してくださった品だと思います。PVCパーツは《ミュベール》では大切に出している手法だったので、今回できたらいいなと思って相談しました。ただ、《レスポートサック》は丈夫で耐久性があることがアイデンティティーなので、パーツが引っかかったり取れたりなど不安要素は全部払拭したかった。途中、何度か心が折れそうにもなったり(笑) デザインの部分では、想像していたよりも《レスポートサック》のチームとはしっかりとお互い向き合いながら、進めていけたことがモノ作りの姿勢、視線においてすごく良かったなと。改めて商品を持って、こちらが気づかないところ、ポケットの位置や深さなど細かな部分も含め、使い手にとって相棒になるということを考えているブランドだなと思います。持った時の心地良さ、違和感なく毎日持ちたくなるという部分を、デザインしていく上ですごく感じました。まさに“一緒の時を刻むようなモノ作り”だと今回感じました。このコレクションが、皆さまの毎日の相棒となっていただけたら嬉しいですね。」
about MUVEIL
2007年にデザイナー中山路子氏が立ち上げたレディー スファッションブランド。ブランド名は、フランス語の muguet(スズラン)と英語の veil(ヴェール)を組み合わせた造語で「幸せを願う」という意味が込められてい ます。